ジルに伝えたい沢山のこと

ねえ、ジル

あなたがおうちに来たのは生後3ヶ月の時

ある朝、ベッドで目が覚めるか覚めないかの瞬間にあなたが私の顔の前にやって来た。

「なんて美しい顔なんだろう。こんな美しい存在がこの世にいるなんて。しかもこれから毎日一緒にいれるなんて!」

そう思ったのを今でも覚えているよ。


あとね、あなたがまだ幼い頃の全身ホワホワな赤ちゃん毛の感触も覚えている。

あとね、私が寝ようとすると必ずリビングから寝室にやって来て、私の体の上に登って、「ほら撫でろ」と言わんばかりに頭をごんごん押し付けてくるのも覚えている。

それだけじゃないね。

私の体の上でふみふみしたり、必ずベッドの足元で一緒に寝ようとしたり。
大概気付かずに私が蹴っちゃうのはあなたも承知の上なのよね。

私が外から帰って来ると、必ず2階のリビングから駆け下りて玄関で迎えてくれる。

2階のウッドデッキに出ると必ず外の世界を見下ろし、一番心地良い場所で寛ぐ。
あなたは決して屋根伝いに外へ出て行かなかった。


ねえ、ジル。

暫くまた入院だね。

腎臓の数値がありえないことになっていて、集中治療室よ。

完全個室のVIP状態よ。


どうりで最近のあなたはじっと動かず、きっと夜も熟睡出来ず、穏やかに寛ぐこともできなくなってしまった。

まともに歩くこともできず、おトイレに行く時はふらふらよろめきながらなんとかトイレに辿り着く。

数十センチ歩いて疲れ果て、立っていられなくなり、床にペタッと寝てしまう。

そんなあなたを見ているのは正直とても辛い。

だけど、私以上にあなたの方が今までやって来たことが出来なくなってしまったことに戸惑いを感じ、辛いわよね。


いつ何が起きてもおかしくない数値だって。

お願い。

おうちに帰って来て。

その先がどれだけ短くてもいい。

おうちに帰って来て。






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